賃貸契約の借り主保護は強者保護である

部屋を借りる側への過剰な保護が部屋を借りづらくしている

部屋を借りるというのは多くの人が経験する事だと思います。
アパート、マンション、一戸建てといった部屋や家を所有して貸し出す貸主と、不動産管理会社などを通して賃貸契約を結んで毎月家賃を払いつつ借りた部屋に住むわけですね。
この賃貸契約には借地借家法という法律が民法に優先して適応されるのですが、この借地借家法は基本的に借りる側を保護するために作られているため、貸す側には厳しいものになっています。

① 貸す側から契約解除を行う事がひじょうに難しい

② 借り主が家賃を払わずに住み続けている場合でも追い出すには時間とお金と労力がかかる。

“借り主保護”なわけですから借りる側からすればありがたい法律に思えます。契約解除されたり追い出されたりする事から守ってくれるわけですから。住む場所がなくなるというのは「困る」というレベルではなく死活問題ですからね。

しかし、借り主保護の法律はくせものでもあるのです。
借り主が皆まともな人であれば借り主保護で良いのですが、同じ棟の住人や近隣に迷惑をかけるような人だったり、家賃を滞納するような人だった場合であっても退去させる事が容易ではないというのが問題です。これではさすがに貸す側は困るでしょう。
この、「借りる人がどのような人間であっても法律で保護されている」事の弊害は、賃貸契約時の審査の厳しさや保証人の要求もしくは家賃保証会社との契約の要求などに表れています。つまり、部屋を借りる事のハードルが上がってしまっているのです。
一度賃貸契約を結んだら、どんな人間であろうと退去させるには貸し主に大きな負担がかかるような法律になっているので、貸し主側は審査を厳格化したり保証人や家賃保証会社との契約を必要とするなどして借り主を厳しく選別したり保険をかける必要に迫られているわけですね。周囲に迷惑をかけたり家賃を滞納するなどしたら、即、立ち退かせる事ができるのであれば、厳しい審査や保証人の要求などで借り主をシビアに選択する必要はないのです。
これは、解雇規制により、正社員として一度雇用したらどんな人間であろうと解雇する事が実質困難であるために雇用する側が正社員採用のハードルを上げざるを得なくなっている事とまったく同じ構造なんですよね。
現行の借地借家法は、どんな借り主をも守るがゆえに賃貸契約のハードルを上げてしまう結果を招いていて、「賃貸契約の審査をパスできる属性で保証人を用意できる人」は守りますが、「しっかりとした企業に正規雇用されていない人」や「収入の低い人」、「保証人を用意できない人」に対しては部屋を借りる事自体を難しくしてしまっているのです。保証人の代わりに保証会社と契約するにも緊急連絡先を要求されますし、別途料金を払わなければなりません。現行の借地借家法は、借り主保護と言えば聞こえが良いのですが、その実、社会的強者 (少なくとも弱者ではない人) の既得権を守るものとして機能しているのです。

どんな借り主であろうと保護してしまう現行の法律を改正し、貸し主が問題のある借り主を即退去させる事ができるように貸し主を保護するような法律にすれば、貸し主は借り主を今ほど厳密に選ぶ必要がなくなりますから、契約時の審査は簡単でやさしいものになり、保証人になってくれる人がいない、もしくは頼めない賃貸契約希望者にも寛容になるはずなのです。

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